東大の新しい入試を見て思う。普通の受験生は、普通に勉強しよう。

先日、東洋経済オンラインで興味深い記事を読みました。

2027年9月に東京大学で開設予定の「UTokyo College of Design」の入試についての記事です。

この入試、一般的にイメージする「東大入試」とはかなり違います。

英語で書くエッセイ。

動画課題。

高校時代の課外活動や学習成果に関する資料。

そして面接。

東京大学が公表している「求める人物像」にも、

・知力と学習能力
・コミュニケーション能力と英語力
・論理的思考力と創造的思考力
・責任感、社会正義感、包摂性
・自主性と協調性

といったものが並びます。

「大学入試もずいぶん変わってきたな」

と思います。

英語ができる。

自分の考えを伝えられる。

さまざまなことに興味を持ち、行動できる。

他者と協働できる。

確かに、これからの社会では大切な能力だと思います。

ただ、この記事を読みながら、高校生にはもう一つ伝えたいことがありました。

それは、

普通の受験生は、普通に勉強しよう。

ということです。


「これからは学力より個性!」ではない

こうした新しい入試を見ると、

「これからの大学入試は、勉強だけしていてもダメだ」

「高校生のうちから海外へ行った方がいい」

「英会話をやっておいた方がいい」

「ボランティアや探究活動をしておかないといけない」

「自分だけの特別な経験が必要だ」

そんなふうに感じる人もいるかもしれません。

もちろん、こうした経験そのものを否定するつもりはまったくありません。

興味があるなら、どんどんやればいい。

海外へ行ってみたいなら行けばいいし、自分の興味のある分野を深く研究することも素晴らしいと思います。

でも、一つ注意したいことがあります。

それを「普通の勉強をしなくていい理由」にしてはいけません。

今回のUTokyo College of Designの入試でも、日本の大学入学共通テストを利用するRoute Aでは、東京大学が指定する科目を受験する必要があります。

しかも東京大学は、

「概ね8割以上」を基礎学力の目安

としています。

さらに英語資格・検定試験の結果も求められます。

つまり、

「テストの点数は取れなくてもいいけれど、面白い経験があれば東大に入れます」

という入試ではありません。

むしろ、

しっかり勉強ができる。
そのうえで英語でも表現できる。
自分で考えられる。
行動できる。
他者とも協働できる。

というところまで求めている。

かなりレベルの高い話です。


「+α」を見る前に、「土台」を忘れない

僕はここがすごく大事だと思っています。

大学が新しい能力を評価するようになったからといって、

昔から必要だった能力が必要なくなったわけではありません。

考えるためには、知識が必要です。

英語で意見を書くためには、英語が必要です。

英語を使って議論するためには、相手の英語を理解できなければなりません。

社会問題について語るなら、その問題についての前提知識も必要です。

何も知らない状態から「自分の意見」だけを作ることはできません。

これは英語学習でもまったく同じです。


英語も「意識高く」なりすぎなくていい

英語教育の世界では、昔からいろいろなことが言われます。

「受験英語ではなく、使える英語を」

「文法ばかりやっていても話せない」

「これからは英会話の時代だ」

「海外で使える英語を身につけよう」

言っていること自体は、よくわかります。

もちろん、英語を勉強する以上、最終的に英語を使えるに越したことはありません。

でも、中学生・高校生を長く指導していると、

その前にやらなければならないことがたくさんあります。

例えば、

そもそも単語を知らない。

これはものすごく大きいです。

知らない単語だらけの英文を、コミュニケーション能力だけで読むことはできません。

文法がわからなければ、

「誰が」「何を」「どうした」

という英文の骨格すら正確につかめません。

一文を正確に読めない状態で、難しい英文の内容について論理的に考えることも難しいでしょう。

だから、

単語を覚える。

文法を理解する。

英文を正確に読む。

たくさん長文を読む。

何度も復習する。

まずはここです。

めちゃくちゃ普通です。

そして、めちゃくちゃ地味です。

でも、この土台があるからこそ、その先にある「使える英語」につながっていきます。


藤井セミナーが「地味な勉強」を大切にする理由

藤井セミナーの授業も、かなり地味です。

毎回、英単語・熟語を覚える。

長文を読む。

時間を計る。

英文の構造を確認する。

一文ずつ意味を正確に取る。

授業が終われば、何度も音読する。

そして次の授業まで繰り返し復習する。

一度読んだだけで終わりではありません。

「なんとなく意味がわかった」

でも終わりません。

その英文を繰り返し読み、

単語を覚え、

英文の構造が自然に見えるところまで反復します。

派手な勉強法ではありません。

SNSで

「これをやれば英語が一気に伸びる!」

と紹介されるようなものでもありません。

でも、僕たちはこういう勉強をとても大切にしています。

なぜなら、

英語力は、結局こういう小さな積み重ねの上にできていくからです。


難しい大学ほど「普通のこと」の完成度が高い

これは関関同立をはじめとする難関大学の入試問題を見ていても感じます。

もちろん大学によって問題の特徴はあります。

語彙レベルも違う。

文章の難易度も違う。

設問形式も違う。

でも、

「ものすごく特殊な勉強をした人だけが解ける問題」

ばかりではありません。

英単語をしっかり覚えている。

英文の構造を正確につかめる。

文章全体の流れを理解できる。

設問を丁寧に読める。

時間内に長い英文を処理できる。

そういった、

英語を勉強するうえではごく普通の能力

が、高いレベルで要求されています。

だから受験生には、

「何か特別な勉強法はありませんか?」

と探し続けるよりも、

今やるべき普通の勉強を、どこまで徹底できるか

を大切にしてほしいと思っています。


「普通のこと」を続けるのは、実は難しい

英単語を毎日覚える。

授業を復習する。

長文を毎日読む。

間違えた問題をやり直す。

決めた時間に勉強を始める。

スマホを置いて机に向かう。

どれも特別なことではありません。

たぶん、ほとんどの受験生が

「そんなことはわかっている」

と思うでしょう。

でも、

わかっていることと、毎日できることは別です。

一週間ならできる。

テスト前ならできる。

やる気がある日はできる。

でも、それを何か月も続ける。

これはかなり難しい。

だからこそ、

普通のことを普通に続けられる受験生は強い。

僕はそう思っています。


特別なことは、普通のことを積み重ねた先にある

UTokyo College of Designでは、英語のエッセイや動画課題、課外活動・学習成果なども含めた総合的な選抜が行われます。

これまでの大学入試とは違う力を評価しようとしている、とても興味深い入試です。

ただ、この入試を見て、

「これからは普通の勉強なんて意味がない」

と考えるのは、まったく違うと思います。

むしろ反対です。

英語で自分の考えを伝えるにも、

まず英語が必要です。

難しいテーマについて考えるにも、

まず知識が必要です。

自分の意見を書くにも、

まず文章を読み、考える力が必要です。

+αは、土台があって初めて+αになります。

土台がない状態で+αばかり集めても、なかなか積み上がっていきません。


普通の受験生は、普通に頑張ろう

高校生のうちから、

世界を変えなくても大丈夫です。

海外経験がなくても大丈夫です。

高校生起業家にならなくてもいい。

英語をペラペラに話せなくてもいい。

無理やり「他の人にはない特別な経験」を作る必要もありません。

まずは、

今日覚えるべき英単語を覚える。

授業でやった長文を復習する。

できなかった問題をもう一度解く。

昨日より少し速く英文を読む。

そして、明日も続ける。

それでいいと思います。

むしろ、

それを毎日続けられること自体が、十分すごいことです。

東大の入試がどれだけ新しくなっても、

英語教育について新しい言葉がどれだけ出てきても、

勉強の土台まで突然変わるわけではありません。

特別な方法を探す前に、

普通のことを、普通にやる。

そして、

普通のことを、普通以上に続ける。

藤井セミナーでは、そんな受験勉強を大切にしています。

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