
9月に入り、2027年度入試の総合型選抜の出願が本格的に始まりました。
産近甲龍でも、9月1日から出願が始まっている入試があります。
「一般入試より楽そう」
「面接や志望理由書なら何とかなるかも」
「年内に合格が決まるなら、とりあえず受けてみようかな」
そんなふうに考えて、今から総合型選抜を検討している高校3年生もいるかもしれません。
ただ、産近甲龍を目指している受験生には、総合型選抜だけを見て受験を決めてほしくありません。
なぜなら、産近甲龍では総合型選抜のすぐ後に公募推薦が始まるからです。
総合型選抜に時間を使うことが、本当に自分の合格可能性を高めるのか。
2027年度の産近甲龍の総合型選抜を簡単に整理したうえで、秋以降の受験戦略について考えていきます。
※この記事は2026年9月2日時点で各大学が公表している2027年度入試の公式情報をもとに作成しています。実際に出願する際には、必ず各大学の最新の入試要項をご確認ください。
2027年度 産近甲龍の総合型選抜を簡単に比較
| 大学 | 主な総合型選抜 | 主な出願時期 | 特徴 |
| 京都産業大学 | 総合型選抜、マネジメント力選抜、次世代型リーダー選抜、探究・挑戦志向入試など | 9月1日~9月8日 | 学部によって書類審査・筆記・面接など選考方法が異なる |
| 近畿大学 | 学部別の総合型選抜 | 9月~10月 | 学部によって出願条件・日程・選考方法が大きく異なる |
| 甲南大学 | 公募制推薦入学試験【AO型】 | 9月1日~9月7日 | 個性・探究活動・理系女子など3方式を設定 |
| 龍谷大学 | 学部独自方式・検定試験利用型・英語型など | 9月中心 | 学部・方式によって評価する能力・方式が異なる |
同じ「総合型選抜」でも、大学によって制度はかなり違います。
さらに同じ大学でも、学部によって出願資格や選考方法が異なります。
つまり、「近大の総合型を受けたい」「龍谷の総合型なら受けられそう」というだけでは判断できません。
志望する学部・学科まで決めたうえで、募集要項を確認する必要があります。
京都産業大学の総合型選抜
京都産業大学では2027年度、通常の「総合型選抜入試」に加えて、経営学部の「マネジメント力選抜入試」、現代社会学部の「次世代型リーダー選抜入試」、アントレプレナーシップ学環の「探究・挑戦志向入試」などが実施されます。
第一次選考の出願期間は、9月1日から9月8日です。
学部によって、書類審査のみで第一次選考を行う方式と、筆記試験などの学内試験を行う方式があります。
第一次選考を通過すると、第二次選考は10月18日。最終合格発表は11月1日です。
例えば経営学部のマネジメント力選抜では、高校在学中のマネジメントに関する経験を志望理由書や面接で伝えることが求められます。
アントレプレナーシップ学環の探究・挑戦志向入試では、高校での探究学習や自主的な活動について記述し、自己アピール動画も提出します。
出願期間に間に合えば、それで準備できる入試ではありません。
近畿大学の総合型選抜
近畿大学は、産近甲龍の中でも特に総合型選抜の種類が多い大学です。
法学部、経済学部、経営学部、理工学部、文芸学部、総合社会学部、国際学部、情報学部、農学部、生物理工学部、工学部、産業理工学部など、多くの学部で総合型選抜が実施されています。
特徴は、学部によって出願期間も出願条件も選考内容もかなり違うことです。
9月上旬から出願が始まる学部もあれば、9月後半から10月にかけて出願する学部もあります。
選考も、書類審査、口頭試問、小論文、プレゼンテーション、グループディスカッションなど学部によってさまざまです。
外国語資格や評定、高校時代の活動・研究経験などを条件としている方式もあります。
つまり近畿大学の場合、「近大に行きたいから総合型を受ける」というより、「自分の持っている強みと合う総合型があるか」を確認するという考え方の方がよいでしょう。
甲南大学の総合型選抜
甲南大学は、入試の名称に少し注意が必要です。
2027年度に総合型選抜として案内されているのは、「公募制推薦入学試験【AO型】」です。
「公募制推薦」という名称ですが、学校長の推薦は不要で、大学公式では総合型選抜として案内されています。
2027年度は、個性重視方式、探究活動評価方式、女子特別推薦方式の3方式があります。
出願期間は9月1日から9月7日、試験日は10月10日です。
個性重視方式では、高校時代の活動や資格などを評価。探究活動評価方式では、高校で取り組んできた探究活動の成果を評価します。女子特別推薦方式は、対象となる理系学部で学びたい女子受験生を対象とした方式です。
つまり甲南大学でも、すでに持っている活動経験や実績を生かして受験する入試という性格が強くなっています。
龍谷大学の総合型選抜
龍谷大学では2027年度、学部独自方式、検定試験利用型、英語型、伝道者推薦型、スポーツ活動選抜、文化・芸術・社会活動選抜などの総合型選抜が実施されます。
学部独自方式・検定試験利用型・英語型では、心理学部、文学部、政策学部、国際学部、社会学部、理工学部、農学部などが対象となっています。
さらに2027年度からは、環境サステナビリティ学部・情報学部でも総合型選抜が予定されています。
文学部では検定試験利用型、国際学部では英語型など、学部によって方式も異なります。
つまり龍谷大学にも、「龍谷大学の総合型選抜」という一つの試験があるわけではありません。
志望学部が何を評価する入試を実施しているのかを確認することが重要です。
藤井セミナーとして伝えたいこと
ここまで、産近甲龍4大学の総合型選抜を紹介してきました。
藤井セミナーとしては、総合型選抜を受験すること自体に反対しているわけではありません。
英検などの資格をすでに取得している。
高校時代に取り組んできた探究活動がある。
スポーツや文化活動などで実績がある。
自分が学びたい分野と、これまでの活動がしっかり結びついている。
このように、大学が評価する条件と自分の持っている強みが明確に合っているのであれば、総合型選抜に力を入れることは十分にありだと思っています。
むしろ、「この方式なら自分の強みを生かせる」という明確な勝ち筋があるのであれば、積極的に利用するべきでしょう。
ただし、産近甲龍を目指している受験生には、総合型選抜だけを見て判断してほしくありません。
その理由は、総合型選抜のすぐ後に、学力で勝負する公募推薦が控えているからです。
産近甲龍の秋入試は「総合型」で終わりではありません
2027年度の日程を実際に見てみましょう。
京都産業大学では、総合型選抜の第二次選考が10月18日、最終合格発表が11月1日です。
ところが、公募推薦の出願も同じ11月1日から始まります。
公募推薦の試験日は11月21日・22日・23日です。
つまり、「総合型の結果が出てから公募推薦の勉強を始めよう」では遅いということです。
龍谷大学も同じようなスケジュールです。
総合型選抜の主な方式は9月に出願し、10月に第二次選考、11月1日に合格発表。
一方、公募推薦の出願も11月1日から11日までです。
試験は11月23日・28日・29日に行われます。
甲南大学はさらにタイトです。
公募制推薦入学試験【AO型】の試験日は10月10日。
その約4週間後の11月7日には、外国語や国語・数学などの筆記試験を用いる公募制推薦入学試験【教科科目型】が行われます。
近畿大学でも、総合型選抜は学部ごとに9月から10月に選考が行われる一方、推薦入試(一般公募)は11月1日から出願が始まります。
試験日は学部によって11月21・22日、または12月5・6日です。
つまり産近甲龍を目指す高校3年生にとって、9月=総合型、11月=公募推薦ときれいに入試が分かれているわけではありません。
実際には、9月・10月の総合型対策と、11月の公募推薦に向けた学力対策が重なっています。
総合型に全力投球して、公募推薦で不利にならないか
ここが、藤井セミナーとして最も考えてほしいところです。
総合型選抜を受験するとなれば、志望理由書を書く、活動実績を整理する、小論文を書く、面接を練習する、プレゼンテーションを準備する、大学・学部について詳しく調べるなど、方式によってはかなりの時間が必要になります。
もちろん、その入試で自分が明確に有利なのであれば、時間を使う価値があります。
しかし、その時間を使うのは高校3年生の9月・10月です。
そして、その直後には産近甲龍の公募推薦が始まります。
近畿大学の推薦入試(一般公募)は、一部を除いて基本的に2教科2科目で受験します。
龍谷大学の公募推薦でも、文系型では英語と国語、理系型では英語と数学または理科など、教科の学力が必要です。
甲南大学の教科科目型でも、外国語と国語または数学などの筆記試験があります。
京都産業大学の公募推薦でも、教科の学力を使って合否を争います。
つまり、総合型選抜の対策に時間を使いすぎることは、11月の公募推薦で必要になる学力を伸ばす時間を削ることにもなります。
しかも、公募推薦が終わったら受験は終了ではありません。その先には一般選抜があります。
公募推薦の勉強は、そのまま一般選抜にもつながる
ここは、総合型選抜へどれだけ時間を使うのかを考えるうえで重要です。
総合型選抜のために行う志望理由書、面接、プレゼンテーションなどの対策は、その入試では非常に重要です。
しかし、総合型選抜で不合格になった場合、その対策のすべてが一般選抜の得点に直接つながるわけではありません。
一方で、英単語を覚える、英語長文を読めるようにする、国語の問題を解けるようにする、日本史・世界史を覚える、数学の問題を解けるようにする。こうした公募推薦に向けた学習は、仮に公募推薦で不合格だったとしても、そのまま一般選抜の学力として残ります。
受験生に与えられている時間は同じです。
だからこそ、9月・10月の時間をどこに投資するのかは慎重に考える必要があります。
では、総合型に全力投球していいのはどんな受験生か
ここまで読むと、「じゃあ、産近甲龍の総合型は受けない方がいいの?」と思うかもしれません。
そういうことではありません。
例えば、出願条件を十分に満たしている、英語資格など明確に評価される武器をすでに持っている、探究活動や課外活動について十分な実績がある、大学が求める人物像と自分の経験がかなり合っている、志望理由書や活動報告書に書く材料がすでにそろっている、過去の選考内容を見ても自分の強みを生かして勝負できそう、という状態です。
このような状態なのであれば、「この総合型なら自分はかなり勝負できる」という判断ができます。
その場合には、9月・10月に総合型選抜へしっかり時間を使う戦略もありです。
一方で、「出願資格には一応当てはまる」「特に評価されそうな実績はない」「志望理由は今から考える」「面接も小論文もこれから始める」という状態なら、総合型選抜に大量の時間を投入することが本当に最善なのかは考えた方がいいでしょう。
なぜなら、すぐ後ろに公募推薦があるからです。
「総合型に受かるか」ではなく「秋全体でどこに受かるか」を考える
産近甲龍を目指す受験生には、ここを一番伝えたいと思っています。
受験の目的は、総合型選抜に合格することではありません。
最終的に、志望する大学に合格することです。
9月から始まる総合型選抜。10月に行われる総合型選抜の二次試験や面接。11月から本格化する公募推薦。そして、その先の一般選抜。
これらを別々に考えるのではなく、「秋から一般選抜まで、どのように時間を使えば自分の合格可能性を最大化できるのか」という視点で考えるべきです。
総合型選抜で自分が明確に有利になるのであれば、そこへ時間を使う。
一方で、総合型でどこまで有利なのか分からないのであれば、公募推薦にも一般選抜にも使える学力を伸ばす。
こちらの方が受験戦略として合理的なケースもあると思います。
今から産近甲龍の総合型選抜を考えている高校3年生へ
総合型選抜を受験しようと思っているのであれば、次の4点を一度確認してみてください。
1. この総合型選抜で、自分が明確に有利になる資格・実績・経験を持っているか
2. 志望理由書や面接などの準備材料は、すでにある程度そろっているか
3. 総合型の対策をしても、公募推薦に必要な学力を落とさずに済むか
4. 総合型・公募推薦・一般選抜まで含めて考えたとき、本当に今この時間の使い方が最も合格可能性を高めるのか
特に重要なのは、1番と4番です。
総合型選抜で自分が有利になることが明確なのであれば、勝負する価値があります。
そうでなければ、「まだ出願できるから」「一般入試より楽そうだから」という理由だけで、9月・10月の貴重な時間を総合型選抜に大きく振ることは、あまりおすすめできません。
産近甲龍には、そのすぐ後に公募推薦があります。
そして公募推薦に向けて高めた学力は、そのまま一般選抜にもつながります。
だからこそ藤井セミナーとしては、総合型選抜だけを単独で考えるのではなく、公募推薦・一般選抜まで含めて、自分の合格可能性が最も高くなる受験戦略を選んでほしいと思っています。
公式情報
京都産業大学:https://www.kyoto-su.ac.jp/admissions/exam/calendar/
近畿大学:https://kindai.jp/exam/system/ao/
甲南大学:https://ch.konan-u.ac.jp/admission/application/guidelines-2027.html
龍谷大学:https://www.ryukoku.ac.jp/admission/nyushi/about/sogo.html








